黒影の館

建築探偵桜井京介の事件簿14。篠田真由美著。感想は超ネタバレです。未読の方は気を付けて下さい(アベラシオンも)。


若かりし頃神代さんが初めて京介に会った時の話です。アベラシオンの次に読んだのは偶然ですが、話凄く似てますよね…? 車で知らない土地に連れて行かれた先にある西洋館、目撃してしまう殺人、館の曰くありげな一族、子供らしからぬ知性の子供、犯人と疑われたり命を狙われたり匿われたりそこから逃げ出したり、地下道をさまよって地下墓堂に行き着いたり、犯人からは除外して考えていた子供が犯人だったり。そこに若くして謎の死をとげた美しい母親と怪しげな父、堕天するルチフェロ(ルシファー)のモチーフが絡んで…黒影のあらすじかアベラシオンのあらすじかどっちでも通じますよ(^_^;)?

わざわざ叔父と姪に同じような体験をさせたのか、こう云う話が好きなのかどっちですか。アベラシオンの方が一族も館(宮殿)もスケールが大きいですが。


面白かったけどそれは神代さんがいいからかも。
芹は純粋に偶然巻き込まれただけだけど、神代さんは門野にアレクセイ(京介)が気に入るだろう人物として選ばれたってことですよね。
人柄もあるだろうけど、門野は多分神代さんが独身でイタリア在住だから選んだんじゃないかな? いざとなったらアレクセイ(京介…面倒なので以下京介)をイタリアに連れていって欲しいと思っていたんじゃないかと思います。神代さんは日本に帰ってきちゃったけど。
何でそんなに神代さんが京介に入れこんじゃったのか今一つ分からない(書かれてないから)んですが、モイラにも云ってたし蒼にもそうだったし基本的に子供が子供らしく生きていないと嫌なんでしょうね。お人好しな神代さんが素敵です。
あと美杜かおると云いソフィアと云い、門野は面食いで一度惚れた女にはとことん尽したい人なんだな〜。


京介の出生の秘密に関しては、もっと凄いこと考えてました私(^_^;)。意外と普通で拍子抜けです。だって京介が自分をグロテスクとか云うからさあ…。
残すは最終巻のみですが、大団円てあとがきにあったし京介は死なないとも明言してるし、案外グレゴリ父さん病気で死んだりして(苦笑)。
モイラが嫌いになれないので、彼女にも幸せな人生が訪れるといいな…。


そういや、門野と杉が山中撃ち殺しましたけど、不問ですか…?


次は神代教授の「桜の園」を読みます。