胡蝶の鏡

建築探偵桜井京介の事件簿11。篠田真由美著。
桜闇の「塔の中の姫君」の四条彰子が出てきます。いつも思うけど篠田さんの書く女性は似てるなあ。男性はいろいろなんだけど、お金持ちの女の人のステレオタイプさが気になります。朱鷺だけ違うけど彼女は我儘すぎてイラっとするから(^_^;)。私がベトナムにあまり興味ないからか、面白くなかったです。建築関係ないやないかー!
京介の秘密にも近付いてないし…シリーズ中に入れる必要を感じない話でしたね。深春はいいヤツだけど。


蒼の母親かおるについてですが、彼女はどうも許せません。蒼がホスピスにいる彼女を世話する優しくて母親思いのいい子、みたいな演出をしたいが為に出してきたような感じがするし。
蒼は仕方ないとして(事件に巻き込まれたのは蒼のせいじゃないし)、かおるには現在の状況に至らないようにすることが少なくとも4回できたはずです。1、薬師寺静が妹みちると結婚した時。2、静の子供を妊娠した時。3、誤って香澄(蒼じゃない方の)を死なせてしまった時。4、温室に犯罪後香澄(蒼)を置き去りにした時。
いずれもかおるが諦めればよかったと思うんですが…。彼女が反省しているから蒼を京介に託して10年以上会わずに来たんだと思って納得していたのに、最期を我が子に看とって貰って幸せに死にましたじゃ、みちるが可哀想すぎる。みちるにとってみれば姉の存在はどんなに嫌だったか(静が悪人なんだけど)、私だったら許せないなあ。しかも自分の実子香澄(蒼じゃない方)はかおるのせいで死んだわけだし。それを思うとかおるは香澄が死んだ時に家と縁を切って杏樹(蒼)を連れて逃げちゃえばよかったと思います。生活は貧しくなったかもしれないけど、悲劇は起きないで済んだのにな。
だからかおるは蒼に会わずにひっそり門野に看とられて死んだ方が納得できたな。看病は蒼の健気さを強調するためのイベントに思えたのですが。一度も会えないままだったら蒼は可哀想だけど。
とにかくかおるの身勝手さは嫌だし、蒼を気遣って誰もそれを指摘しないのも気持ち良くないです。

プロローグにあった京介の論文についてですが、何故和洋折衷建築に拘わるのか、そんなに理由いるかな? 私は単純に好きなだけですが(^_^;)。


次は聖女の塔を読みます。