アベラシオン

篠田真由美著。建築探偵シリーズの神代教授の姪、藍川芹が主役のイタリアが舞台の話です。
アンジェローニ・デッラ・トッレ家のパラッツォサンタンジェロ(聖天使宮)で起きる殺人事件ですが、芹が西洋美術史を学ぶ学生で、イタリア貴族と元ナチスの謎のドイツ人男女4人が出てくるので話は単純ですが蘊蓄が長い(^_^;)。でも架空の聖天使宮を読みながら想像するのはとても楽しかったです。


芹は建築探偵本編でも時々存在を匂わされてますが、京介達とはあんまり親しくないのかな。イタリア貴族のアベーレ・セラフィーノの顔を見ながら好みのタイプを考えているシーンがあるんですが(アベーレは美男なんだけど特に好みではない模様)、それを見ると深春がいいんじゃ!?と思うんですけど。実家の小料理屋さんも継げそうですよ(^_^;)。


内容は疑わざるを疑うミステリーの王道でまあ、意外なことはなかったです。探偵らしき探偵がいないけどアベーレがそうなのかな。好みは分かれる話だと思いますが私は建築探偵本編より面白いと思いました。

芹がごく普通の日本人の女の子(24だから子ではないか)なのがいいんじゃないだろうか。建築探偵は京介の考えていることが読者に分からないからな〜。
ネタバレですがルイジが持っていた杯の中身は何でもなかったと思うし、ジェンティーレもそれを不老不死の薬だとは信じていなかったと思います。芹が来たことはきっかけで、自分がどう生きたら良いのかもう限界だったんじゃないかと。


次は黒影の館を読みます。