黄昏に佇む君は

黄昏に佇む君は、篠田真由美
建築探偵桜井京介シリーズの脇役W大の教授神代宗の若かりしころの話。下町の煎餅屋で生まれ育った腕白坊主が、何故畑違いの西洋美術、しかも16世紀のヴェネチア派の研究者になるに至ったのか。
パリに留学している若い画家の挿話が何回か入るのですが、最初は1人だと思って読んでいたので途中混乱しました。モナリザ(ラジョコンダ)の贋作を描いた画家と兄弟画家は別人なんですよね。説明されていないから‥。
一言で言えば「偽もの」の話です。宗にモデルにならないかと声をかけてきた美少年との話ですが、贋作の話が何回も挟まれるのでこの子は本当は小森文也じゃないんだろうなと思いながら読んでいました。まさか少女だとは思わなかったけど。でもあのまま文也として国籍を得たとしても、性別違うから無理だよね‥?どうするつもりだったんだろ。
神代教授が好きだし、姪の藍川芹も好きだし、京介とか蒼(ちょっと出てくる)たちはあんまり興味ないですが、この話は面白かったです。温室のアトリエが炎上するシチュエーションは原罪の庭とちょっと似てるイメージだけど。

鈍くて煮えきらなくてでも正義感が強くて格好いい神代教授が大好きだ。また書いて欲しいな。神代さんの義父清顕氏も素敵だし、友人の辰野も格好いいです。