桜の園

神代教授の日常と謎。篠田真由美著。今気付いたけど「日常と」、の「と」の横にヽ(てん)がついてるのはなんだろ??


中編が2つ。最初の表題「桜の園」は建築探偵本編にも出てきた心理学教授大島が主人公。神代教授の親友辰野薫が探偵です。1作目の風信子の時にも思ったけど、これを神代教授シリーズにするのは看板に偽りありじゃないの…? 素直に「小児科医辰野薫シリーズ」と云うのを作ってそこに神代さんを出せばいいんじゃないかと思います(^_^;)。


大島が感じていた東京出身と云うと相手がしらけてしまう感覚、分かる気がするな。私は親が転勤族で(もしや死語か!?)産まれてからくっ付いて行かなくなる18歳までほぼ2〜3年おきに引っ越していたので、「出身」と呼べるような土地がないんです。親の出身地はあるけど私には馴染みないし…。長く住んだ場所もあるけどそこに親戚や幼馴染みがいるわけでもないですしね。だから最近は好きだったところを出身と云うことにしてますが、大島が感じた相手のそっけなさは都会コンプの現れかも。話のとっかかりが得られなかったのかと思いますが。世間話として「どちらのご出身ですか?」って本当に良く出るからなあ〜…。いちいち全部説明するのは大変だし相手もそんな話が聞きたいわけじゃないしね(^_^;)。困るんです。


神代教授みたいに懐かしいところがあるって云うのはいいなあ、もちろんどんな地方都市でもふるさとを持っていると云うことは羨ましいですね。
神代さんは実家に帰ると自分だけが兄弟から浮いてるって感じてますが、それは当たり前なんじゃ…。江戸時代から続く下町の煎餅屋さんや、同じ商店街の小料理屋さんからしたら、イタリアに10年も留学していたヴェネチア美術専攻の大学教授は兄弟じゃなくても異質だろ(苦笑)。仲がどうと云うか職業が浮いてるんだと思うけどな…。


「花の形見に」こちらは多分私を含め建築探偵読者が読みたい神代教授の話だと思います。要するに京介と蒼が神代宅に居候していて、元居候の深春が時々遊びに来ている時代の話(^_^;)。こういうのが読みたいんです。
謎解きは京介のアームチェアディテクティブですが、桜の園もそうだけど「何かが引っ掛かる」と感じていてもそれが何だか分からない神代さんが良いのです。誰も彼もが探偵役はちょっと…ですから。でもこの辺りの3人が同居していた話だったらいくらでも読めるな(^_^;)。幸せな生活だから…。面白かったです。


次は柴田よしきの猫探偵正太郎の冒険2を読みます。