邪魅の雫

榎さんが出番少ない…いつもよりもテンションが低かったですね。まあ自分の事件だから面白くも楽しくもなく面倒なのに頑張ってたわけだから、仕方ないかな。でも相変わらず格好良かったですが。
反対に関口がいつもよりもしっかりしていてなかなか活躍(?)していました。意外。鬱状態じゃないし人の為には何かできる人なんですね。しかし榎さんが躁で関口が鬱がデフォだからどっちも常の状態じゃないわけだ。

内容は名前のトリックでややこしいし、西田画伯、酒屋江藤、元刑事大鷹の3馬鹿トリオ(と云うか中二病)がいら〜っとします。
レギュラーメンバーではない人の一人称も分かりにくいし、この三人がまた精神的に幼稚でイライラする。目が滑って最初の方なかなか進みませんでした。青木や益田が出てくるとホッとしました(^_^;)。
青木はやたら有能で益田はとてもいじらしい感じでした。ホントに榎さんが好きなんだね。←違う。

榎さんに内緒で縁談相手を調べていた時に偶然出会って(偶然ではないんだけど)しまって、自分の頭の上辺りをかきまわしているのがなんか可愛かったです。榎さんが他人の視覚記憶を視る時にそこら辺を見るからですね。視られたくなかったんだな。

頭の整理の為に確認。
赤木と出会った宇都木実菜(偽)、来宮姉妹に馬術を教えていた神崎礼子、実菜を真壁恵と名乗らせて平塚にアパートを借りてあげて、西田画伯に実菜をモデルとして紹介した原田美咲、大鷹に実菜の護衛を頼んだ真壁恵の4人は全部神崎宏美でいいんですよね?
んで澤井が宏美のところに来たのは満州で防疫給水部隊にいて岩崎が薬を開発したことを何故か知ったから? 何で知っていたか書いてありましたっけ…。あと宏美と赤木が知り合ったわけもなかったですね。宏美が西田に近付いた訳も良く分からないです。
澤井を殺したのが小百合、小百合と赤木を殺したのが江藤、実菜を殺したのが赤木、江藤を殺したのが大鷹、大鷹を殺したのが西田ですか。
そのうち江藤がどうも分からない。殺人の理由もないし通りすがりの榎さんに叱られて急にパニクるのもなんか…。

全体的に風呂敷広げたわりには畳む作業が雑、と云う印象の話でした。

疑問なのは何で復員したあと榎さんは宏美に会わなかったんだろう? と云う点です。
宏美の写真を京極に預けて行くくらいだから彼女を好きだったんだろうと思うんですが。

戦争中に何か今の脱世間的性格になるきっかけがあったのかと…。いや昔から性格は天衣無縫だったみたいだけど、それでもちゃんと大学行ってちゃんと海軍にも入っているわけだから、それほど軌道を外れていたわけじゃないんじゃ…。あ、書いてて思い出しましたが、目が悪くなったからですかね? 閃光弾で。
現実の世界が見えにくくなったから過去映像が前より良く視えるようになってしまったとかだったような。

いずれにしてもこの事件は宏美が榎さんのことを今でも好きで、縁談相手に嫉妬したから起きたってことでいいんだろうか。あの「しずく」はさっさと捨てちゃったら良かったんじゃないかと思いますが…。

ラストの榎さんの台詞はどう受け取ったらいいんだろうな〜。
京極堂はなんだかんだ云いつつ榎さんのことは一目置いて信頼している感じがしましたね。云い方は違うかもしれないけど、この二人は唯一同類な気がします。
木場さんの出番が少なすぎだよ…。

次はやっと姑獲鳥の夏を読みます。