花咲村の惨劇 鳥啼村の惨劇 御殿山の殺人

花咲村の惨劇、吉村達也。推理作家朝比奈耕作シリーズ4。「惨劇の村シリーズ」と言うらしい。
朝比奈の自殺した父親は郷土史家で、夢の中に出てきて「花鳥風月、花鳥風月」と囁くようになる。朝比奈は予知夢ではないかと父の親友だった犯罪心理研究の尾車教授に相談するのだが、父の書き残した文章に出てくる花咲、鳥なき、風吹、月影、の4つの村が実在することがわかる。その一つ花咲村の花柳家から朝比奈に助けを求める手紙が届き、朝比奈はその鳥取の寒村に向かう。
相変わらずあらすじを書けないくらい話が詰め込まれていて、それなのに読んだあとに満足感がないのですが。何でなのか。
父親が朝比奈に自分のPNをつけていたらしい(朝比奈耕作と言う名前で活動していたらしい)、4つの村に実際に滞在していたらしい、これくらいしか分からないからでしょうかね。話は桜の咲き乱れる花咲村の現実離れした感じとか、旧家の因習とかまあまあ面白いですけど。吉村さんの話で今まで読んだ中では一番よかったかな?

鳥啼村の惨劇、吉村達也。惨劇の村シリーズ2。
今回は舞台が小笠原の青ヶ島になったのですが、為朝のお宝伝説の話は前にも読んだような・・・。今野さんのSTシリーズですね。沖縄だった気がする。
舞台設定は凝ってるけど、事件自体は穴がありすぎるなあ。いくらお宝が目が眩んだからと言って、為朝や昔の中国の密輸船の財宝が夜光塗料の塗られた箱に入っていると思うのか? バカすぎじゃないのか・・・。あと中身が灯油のような燃料だったら線香の火を近づけたくらいでは燃えないと思う。ガソリンならわからないでもないけど。
青ヶ島はババロアみたいでかわいいですけどね。死んだ柿沼が朝比奈の父親の書いた冊子をどこで手に入れたのかとか、どうやら朝比奈弟らしい青年の存在とか、この先解決するのかな、と思いました。花咲村に比べると鳥啼村はあんまり朝比奈父が関与していない気がする。

御殿山の殺人、吉村達也。サイコセラピスト氷室想介シリーズ4。
御殿山に文字通り御殿のような邸宅を構える、ゲームで一財を成した戸張家の事件。次男の再々婚相手の梓が自分の前の妻達が自殺に追い込まれていたと言う事実を知り、次は自分の番だと怯えるなか、義母の月子が田園調布の別宅の浴室で殺される。その姿は下半身に大きな鯉のぼりのようなものを履かされ、人魚のようになっていた。
あらすじ書きにくいのは相変わらずですが、これは結構面白かった。変人がいっぱい出てきて、どの人が犯人かミスリードされる感じです。最後梓が逆転、逆転、また逆転と言っていますがそういう感じ。しかし問題点は改善されいていないです。吉村さんの話で私が不満に思うのは探偵役が解決する時の話の中に書かれていない事実が入っている、と言う点ですね。こんなのどこでわかったかな、と思って読み返しても出てこない。読者がフーダニットやハウダニットに挑戦するタイプの小説ではないんだろうけど、でもそこを守ってくれないと推理小説ではなくなっていしまいそう。
今回の問題点は長男の紳一郎が梓が犯人だ(殺人を犯す)と思った根拠が書かれていない、田丸警部が叔父の俊太の嘘を見破った根拠もない。そう思う事実がどこかにあるはずですが。あと月子と義弟の俊太が浮気して妹美苗が生まれた、と言う設定も特に必要ない気がしますが・・・。まあでも、変人がおかしな犯罪を犯すのは嫌いなので(変人が変でもそれは当たり前)、一見一番違いそうな人が犯人だと言う展開は面白かったです。猫が重要なポイントなのもミステリっぽくていいです。