銀閣寺の惨劇

金閣寺の惨劇と対になっている銀閣寺の惨劇。吉村達也。

感想はめちゃめちゃネタバレです!
2冊読むと
1.終わったはずの巻の真犯人が変わっている
2.背筋の寒くなるような怨念の構図が現れる
それに加えて大きな人間ドラマが見えてくる、とあとがきにあるのですが。

1については、金閣寺の犯人が鶴子(真里亜)だったのか、もしくは結子と鶴子の共犯という線も考えられます。金閣寺の冒頭で薬師寺に行っていたのが結子ではなくて鶴子って思えば。
2はなんだろうなあ、銀閣寺のラストで鶴子は兄の由多佳と結婚しようとしているけど、それが怨念の構図?
兄妹で近親姦をしようとしているのか、それとも寝首をかくつもりなのか。今でも冷たかった兄に恨みがあるわけだから、普通に結婚しようとは鶴子は思っていないですよね。
金閣寺のラストで私が感じた、由多佳がこのまま幸せになるのが不愉快だって感覚は正しかったみたい(^-^;。鶴子に復讐されてしまえ。

この銀閣寺の惨劇には騙される人がたくさん出てきますが、最後には翻弄されているかに見えた鶴子が由多佳を騙し、何もかもうまくいったと思った由多佳が騙されるってことかなあ‥。色々考えたんですが、作者さんがぶちあげているような大逆転みたいなのは、よくわかりませんでした。

銀閣寺の惨劇自体は、作中に出てくる南雲のエッセイ引用部分が長くて話が間延びするし、1993年当時の日本人論(東京の人に限定)は今は違う感じですねえ。英語の否定疑問がトリックに使われているから必要なのかもしれないけど、コンパクトに書けるはず。銀閣寺の事件もおまけみたいなもので、ほとんど3ヶ月前にロスのレコーディングスタジオで起きた密室殺人事件の話だし。しかもこのトリックが、マジで本を投げたくなりました。久々にこんな阿呆みたいなトリック見たわ‥‥。

私は金閣寺→銀閣寺の順に読みましたが、逆からだと時系列的にも人物像的にもおかしいんじゃないですかね?
金銀の順で読んだ方が無難です。でもおすすめはしない(^-^;。