五重殺+5 「伊豆の瞳」殺人事件 六麓荘の殺人

五重殺+5、吉村達也。サイコセラピスト氷室想介シリーズ2。シンデレラの五重殺と改題されています。
シンデレラ計画と名付けられた新人アイドルのオーディションに勝ち残った少女が自室で殺される。一人の人間が5つの方法によって同時に殺害されると言う前代未聞の事件で、しかも犯人の姿もなかった。その後プロジェクトに関わったディレクター達も次々と殺され。
と言う話なのですが、ネタが多すぎてあらすじ書けない。最初の松永栞の5つの方法と言うのは、青酸カリが使われたのに居間からバスルームに移動しているので、自分で飲んだとしか思えないですよね。他人に盛られたんだったら歩く暇もないはず。お風呂の窓が開いていて首に細い紐の跡がある、と言うのも犯人の脱出方法がわかりました。でもだからこそ男だと思ったんだけど・・・女の子が電話線だけで自分の体重を4階から支えられるとは思えないなあ。
いろいろなネタをつぎ込みすぎて失敗している感じ。犯行の動機とかは煮詰めれば良くなりそうなんだけど、吉村さんの話はみんなどこかあと一歩の感じがします。

「伊豆の瞳」殺人事件、吉村達也。推理作家朝比奈耕作シリーズ1。名前からして中年のおじさまかと思いきや、若くてしかも髪を染めてメイクしていて、ロック歌手にしか見えない外見の人だった。
天城の山々を映し出すことから伊豆の瞳と呼ばれる、大室高原にある一碧湖を望む社員寮で事件が起こる。容疑がかかったのは朝比奈の親友平田で。
私が読んだのは文庫版なのですが、オリジナルとは犯人が違うそうですw それってどうなんだ・・・。犯人の身長が縮んで見えたトリックとかなかなかおもしろいのですが、二重人格の使い方が良くない。やはりもう一歩。でも朝比奈がインパクト強すぎなのであまり気にならない(^_^;)。そして彼のスタイルの謎に興味があるので続編も読みたいと思います。2と3が手に入らないのが残念ですが。

六麓荘の殺人、吉村達也。サイコセラピスト氷室想介シリーズ3。
芦屋の高級住宅街六麓荘と田園調布の美宗門家の邸宅で双子の姉妹が同時に殺害された。姉の美和は髪を剃られた姿で、妹の美果の部屋には髪と大量の血痕のみを残して。果たして犯人は美宗門の愛人波川志保なのか?
妹の遺体がない、志保の元夫が医者、この時点でトリックはわかりました。氷室の切った髪をロケットに入れてる舞がちょっと怖い。こんな陰性の子だったっけ? 芦屋署の奥様警部有馬さんがいい味出してるけど。妹美果がワーキングホリデー中なのはいいとしても、日本を出たタイミングがおかしい。微妙な話。吉村さんの話はなんかもやもやするなあ・・・。でも美宗門の価値観が最後に変わったのは良かった。
六麓荘は関西に住んでいた頃実際に行ったことがあるけど、いたたまれなさがはんぱないです←庶民。
あと書かれた時期がちょうど阪神大震災の辺りだったようで、あとがきにレポートが写真つきで載っていました。