巨人たちの星 記録された殺人 半月大神の夜

巨人たちの星、ジェイムズ・P・ホーガン。星を継ぐもの3部作の3作目、これでシリーズが完結、と思ったら10年後に4が発売されていました。
月の裏側で5万年前に死んだ人類が発見された事件から、昔火星と木星の間にあった惑星ミネルヴァに居た身長7フィートの巨人たちの存在があきらかになる。ここまでが1。いわゆる浦島効果で2500万年の時を超えて現代に現れた巨人ガニメアン達との交流が2。3は、そのガニメアン達がミネルヴァが温室効果で居住不可能になる前に別の惑星系に逃れた(ジャイアンツ・スター、ジャイスターと命名)仲間達の後を追って旅立ったあと、別の何者かにずっと地球が監視されていたことが判明。ハント博士達はその何者かと国連の目をかい潜ってジャイスターのガニメアン(テューリアン)達と連絡を取り合うことに成功、彼らの星の進んだ科学力に初めて触れることになる。そして新たな存在とは何なのか。
いやあおもしろかったです。初めて出て来たガニメアン以外の宇宙人がめっちゃステレオタイプの悪役バカなのはご愛敬かと。でも地球上の国連乗っ取り(スヴェレンセンその他)の部分は結構面白い。ハント博士がリンのこと大事なのに本人に向かうと斜めな態度なのが可愛いですね〜。結婚しちゃえばいいのに。←この作品に対して恋愛の感想書いてる人はまずいない(^_^;)。
シャピアロン号のコンピュータゾラックがハントを喜ばせようとイギリス風の発音で話したところはめちゃめちゃ可愛いかった。「君が喜ぶと思って」って。可愛いすぎる(>_<)。テューリアンのコンピュータヴィザーも最初は事務的で冷たい普通の感じだったのに、最後の架空戦争のあたりではたんか切ったりして、ハント達とつき合ううち人間ぽくなるのが無性に可愛い…。あとルナリアンのコリエルが記録上生きていたことがわかった時にハントとダンチェッカーが大喜びしているのも良かったです。
ジェヴレン人の運命はこういう形になると思わなかったのですが、超古代人が実は超未来から来た人のパターンだと、結局収集つかないよね。メビウスの輪が閉じてしまう。どうするんだろうか。
ここで終わりの方がいいらしいけど、4も一応読むつもりです。


記録された殺人、岡嶋二人。短編集。公園を撮影したフィルムにたまたま殺人の現場が写っていた。記録から犯行をたどる結構珍しい話。「迷い道」は怖い話ですね、悪いことはできないもんだ。その他岡嶋さんの短編は面白いけど長編に慣れているせいかもの足りないかもしれない〜。


半月大神の夜、山田ミネコ。ネコさんのファンタジーの2作目。世界はどうも将来の地球みたいなのですが、1回人類が滅びているような…しかもトナエが生き残っている(^_^;)。うーん永都達負けちゃうの? でも星野みたいな人が大神さまになっているからまったく別の世界なのかもしれないけど、そう思いたい。
話はデーヴァダッタ達と獣人達の戦いの様子。主人公のディムゼンは精霊を従えることができる「聖魔術師(イシュラドゥ)」になることができる王子さま。西風の精霊「ラシャ王」はそのままでてきます。本当は前作「花咲く帝王の樹々」も読むべきなんだろうけど、あらすじ読んじゃったからいいか。金髪美形の地霊は普通の最終戦争シリーズにも出てくるけど、トナエのこと好きだったっけ? そんな記憶ないな。永都と喋ってた時はもっと幼い感じだったような気がする。
面白かったです。イラストもネコさんですごくいい。やっぱり最終戦争(この場合デーヴァダッタシリーズと言うべきか?)は面白いな。もっと読みたいですね。

上のホーガンの星を〜シリーズもネコさんの最終戦争も未来の話なんですが、米ソの冷戦がそのまま続いている前提の未来なんですよね。80年代の人間にとっては、あれは永遠に続くものに思えたんだろうか。まあ壁崩壊もあまりにも突然で現実感がなかった気がするけど。過ぎ去ってしまえばそんな時代があったことの方が不思議ですけどね。