大鳥圭介

土方歳三との出会いと別れ−
古賀志郎。彩流社。
大鳥さんの生い立ち、経歴から始まって戊辰後牢生活を経て晩年までの話です。意味有りげな副題ですが土方さんはそんなに関係ありません(笑)。これをつけるとファンが手に取ると云うことでしょうか?? 大鳥さん自体も頭のいい人なので本人の書いたものの引用も難しいのですが、作者さんも詩人の方で文がとても理解し難かったです。比喩とかは綺麗なのですが・・・。漢詩や文献の引用も難しいので小説と云うより資料っぽい感じもします。
土方さんは「近藤のところへ行きたい」が口癖で、大鳥さんは生きて欲しいと思っていたんですがとうとうそうなってしまったと思ってます。彼の訃報を聞いた時「やはり近藤のところへ行ったのか歳三」と心の中で勝手に「歳三」と呼んでいるのがいい感じですねv 土方さんに対して「巨躯」と云う表現はちょっとどうかと思うんですが、大鳥さんが小柄な人だったらしいのでまあ仕方ないかと。大鳥さんが五稜郭で兵士達に砲術や築城や天文の講義をしている時、微笑みながら輪の外で聞き入っていたと云う土方さんが良い感じでした。大鳥さんは負けてもにこにこしているし、牢の中でも「疲れる」から嫌だと思っているだけで、大物な感じですね・・・。可愛いとも思うんですけどこの人が上官だったらちょっと嫌かも(苦笑)。明治政府では色々役職を歴任しているのですが、日清戦争の口火を切った人なので後世の評価は低いと云うことです。