バラガキ

中場利一。講談社。
土方さんの顔写真に落書きしている表紙が衝撃的なこの本ですが、ご子孫の方には了解取ったのか気になりますね〜。しかも「寄らば斬るぞ 誠」はいいとしても「ロケンロール」って書いてあるんですが・・・。土方さんの生き方ってそう云えばロックな気もしないでもないですけど(笑)。
内容も賛否両論ですが、多摩のバラガキのトシが新選組副長土方歳三になって行く過程の話です。こう書くと良い感じなんですがとにかくこの人達は喧嘩ばっかりやってます。試衛館全員喧嘩っぱやいったらないんですが、土方さんが結構過激なのに大人しく見えてしまうくらい(笑)。でも試衛館時代からみんなが歳さんの周りに集まってきて、情報を入れては「トシさん、どうするよ?」と土方さんの下知を待つ、と云うのが自然でそのまま新選組もそうなっちゃったと云う感じなのが好きです。土方さんは女好きで男前で威勢がよくて、頭がめちゃめちゃ良くて天性の喧嘩師と云う人でイメージとしてはそう破綻していないと私は思うんですが。近藤さんはとにかく強くてほがらかで剛毅で少し短慮なんですが、土方さんに怒られるとちょっとへこんでそこが可愛いです。もしかしたら今まで読んだ中ではこの近藤さんが一番好みかもしれません(^^;)。問題は総司で、ニコニコではなくヘラヘラ笑いながら人を斬る天才剣士です。しかもやり方もかなり猟奇的で「近藤さんのエクボと土方さんの八重歯」が可愛いから斬らない、と云ってはばかりません。なかったら斬るんだね・・・。土方さんも弟のように可愛いがって頭とかもボカボカ殴っているんですが、内心では(いつか斬られるかも)と怯えてたりします。山崎さんが江戸からの友達として出てきます。
土方さんの成長のお話なので池田屋で終っているんですが、ここまでの進みだと土方さんを鬼と嫌う人は一人も出てきません。会津公用方にも気に入られてるし、みんな自然に頼っている感じなんですよね。話がとにかく荒っぽいので万人に受け入れられるかは難しいところですが、私はかなり好みな話でした。ただ土方さんロリコンなんですよね・・・。