近藤勇

秋山香乃。角川ハルキ文庫。
池田屋から刑死までの近藤の話です。最初に思ったのが題名が普通だなと云うことなんですが。今までの秋山さんの小説は題名が素敵で(平助も普通でしたが)いいなと思っていたので、もうちょっと捻って欲しかったかなあ〜。
秋山さんの書かれる人物像は私は大好きなのですんなり読めました。同じ事件でも今までと解釈の違う話がいくつかあるので、それはわざとそうしているのだろうなと思います。山南さんが労咳だったと云うのはそう思えば頷けるかなと。でも何と云っても土方さんがいいんですよね、秋山さんはv 総司に「いけないことを考えているときの土方さんは綺麗だなあ」と云われても反論したのは「何がいけねェ」だし(綺麗だと云うことじゃないのね(^^;))、永倉が建白書を出した時も黒谷に向う近藤さんに「あんたが生きて戻ってこなけりゃ、俺も切る」と云うし、甲陽鎮撫隊の出陣の時は洋装があまりに似合っていて島田が「こりゃまたべっぴんさんですな」と云って睨まれてるし、とにかく読んでいて嬉しいです(笑)。山崎も近藤さんに「歳三に惚れていたから(最後を看取って貰えて幸せだっただろう)」と思われてましたがこれは決定項ですか(^^;)?
山南さんの切腹のあとしばらく気まずくなっていた時も、近藤さんが芸州から無事に帰ってきたら「あんたが無事で嬉しかった」と殊勝なことを云って近藤さんに「今なら何でも頼みをきいてくれそうだな」と云われてます。局長、何を頼むつもりだったんだ・・・。気になりますね〜。流山での別れもとっても良かったです。

一つだけ気になるとすれば、平助の本の時も云いましたが山南さんと平助の脱退の理由が天狗党の事件になっていることですね。もしこれが事実に近いとしても、天狗党にそれだけ同派の北辰一刀流の水戸出身者の友人がいるのだったら、そもそも芹沢さんに知らん顔はできなかっただろう(芹沢さんは神道無念流ですが水戸天狗党ですから)と思うんですけどね・・・。