クラインの壷 熱い砂

クラインの壷、岡島二人。
これが実質最後の作品ですが、内容は井上夢人さんが一人で書いたもののようですね。
あらすじ、ゲーム作家を目指す上杉彰彦は自分の作品をゲーム化したいと云う会社のとある画期的なゲームのモニターになる。アルバイトに雇われた少女が突然やめたことをきっかけに、会社に不信感を抱きはじめるのだが。
ゲームは現在でも未来にもできそうにない、本当の全体験型です。中で起きていることが全て現実に起きたことのように体験できる。拡張現実の先を行った感じ。上杉はとうとう現実とクラインの壷と呼ばれるゲームの中の出来事の区別がつかなくなってしまうのですが、作品の中でその結論は描かれていませんね。私は、アルバイトの梨紗がゲーム中にショックで死に、その事実を隠すために上杉の記憶を操作しようとした、の方が現実な気がするな。なので逃げ出して山にこもっている現在の状態の上杉は、現実にはまだ壷の中にいるって云うことですね。カミソリで手首を切るつもりの場面で終わりますがそこでゲームオーバーになるか、さらに病院へ搬送されるシーンに転送されるか、ともかく七海や姫田がいる方が現実だと思って読んでいました。反対は考えにくいな。凄く面白かったです。

熱い砂〜パリダカール11000キロ、岡島二人。
最初タイトルだけ見た時はそういう内容のミステリだと思っていたのですが、本当のパリダカのレポートでした。しかし雇った運転手と通訳が素人だったので(これヒドい話だ)迷いまくるので結局レースの取材は全くできず、砂漠を体験する旅行記みたいになってます。今はパリダカはアフリカの治安が悪化したため南米で行われていますが、人の国で何を勝手に走っているんだと思う気持ちになる気もする。見ていた時も結構複雑だったなあ…。とにかく運転手をベテランにすればこんな苦労は全然なかったんだろうな、と云うお粗末記ですが、砂漠の苦労を語る話だと思えば結構面白いです。パリダカの話ではないですね。砂漠のトイレ事情にはびっくりだけど、陽が昇ればあっと云う間に乾燥地獄だろうし、風が吹けばどっか紛れて行くんだろうから問題ないんでしょう。砂漠は清潔でオアシスが不潔だって昔聞いたことがあるけど。

岡島二人の作品はボクシングのを除いてこれで一応全部(読まずに返したのが1冊あるけど)読んだことになるんですね〜。面白かった。次は井上さんのを興味あるのだけ読もうと思っています。