叫びと祈り

梓崎優。第5回ミステリーズ!新人賞受賞作含む短編5作の連作。
「砂漠を走る船の道」「白い巨人(ギガンテ・ブランコ)」「凍れるルーシー」「叫び」「祈り」
七か国語を操る青年斉木の旅の物語。ミステリと云うよりそう考えた方がいいと思いました。日本語、フランス語、スペイン語、ロシア語、ポルトガル語、話に出てくるのはこれだけ(砂漠を〜がマリ共和国モーリタニアと仮定、祈りの東ティモールの少年もポルトガル語できたと仮定)ですが、英語はできるよね?するとあと一つはドイツ語なのかイタリア語なのかそれとも全然違うのか気になります(^_^;)。←そこどーでもいいだろう。

受賞作の「砂漠を走る船の道」は文句なく面白いフーダニットです。メチャボ可愛いよ〜。斉木は救われたけど砂漠に置き去りにされたバルボエも死んだと思うんですがそこはどうするんだ。
「白い巨人」も嫌いじゃないな、謎解きよりも青春ものみたいですが。
「凍れるルーシー」は評価高いみたいだけど、どう解釈したらいいのか正直わかりませんね。ホラー? まさか本当に250年前に死んだ聖女が蘇ったわけないと思うんだけど。ラストがなければ単純に死体がないから身代わりにしたんだと思いますが。感想を探してもあんまり書いてないですね。
「叫び」これが一番私は怖いな、何が怖いってやっぱり未知の病気が。話の内容は砂漠を〜の別バージョンかな、オチは納得するしかない力業で砂漠をほどすっきりしません。でも斉木とアシュリーはアマゾンからどうやって帰ったんだろ?
「祈り」この話必要ない気もしましたが。斉木が弱いような気がするけど現代日本人はこんなもんかな? よくミステリ読んでて、探偵は次々に悲惨な事件に遭遇し続けてまいっちゃわないもんかなと思いますが、その辺りに突っ込んだ話なのかな。少年は本当にいたのか斉木の幻想かもしれないと後から思いました。森野(ヨースケ?)の話に出てきた海賊船とか月に眠る狼の話も読んでみたいです。

風景描写が巧みで絵画的な小説でした。私は好きだな。続きが出たらぜひ読みたいですね。