一角獣の繭

建築探偵桜井京介の事件簿13。篠田真由美著。感想はネタバレです。


蒼が恋する物語とあらすじにありましたが、うーんまあ確かにそう云えなくもないけど…。話はまた松浦かよ!?(^_^;)でした。七座家の事件が比較的新しい(一年半前)だったからもしかして事件自体松浦が関与しているかなとは思いましたが、あんまりそう云うのが都合よく続くのもどうかと…。どうも私は催眠術に操られる犯罪に懐疑的なようです。
京介の影は薄いしちょっと策士っぽい。神代教授は殆んど出て来ない。深春はいるけど高原リゾートに云わば軟禁状態だから彼らしくない。聖女の塔よりはいいけど、あまり面白くないです。


肝心の蒼の恋ですが、京介に対しての気持ちは私は恋じゃなくて刷りこみか、同一化願望だと思うんですが。蒼が自分で語っていたように、香澄としての自分は京介のイメージに似ているわけだから、晶那を救いたかった気持ちのいくらかは自分が京介になることと重なっていると思う。でも深春が思う恋はちょっと違うかも(^_^;)。蒼はあくまでまだ憧れの部分が大きいんでしょう。
でも例えば晶那がなんの憂いもない16才の健康な少女だったら、蒼が惹かれることもなかったかなと思うので、好きと云う感情より彼女を救いたい気持ちの方がウエイト大きいのかな。
途中までは普通に恋してるんだと思って読んでいたんですが、ラストでやっぱり京介の方に行ってしまったし…ちょっとは彼女に未練あるかと思いきや(^_^;)。あっさりしすぎです。蒼が思う桜井京介と云う人格は、京介としても作っている人格のような気がしますが…今回はなんとなく普段の京介より怖い(得体の知れない感じ)かな?
京介は鏡平で起きていることは全部知っていたっぽいですね。週一の電話は深春と話すことが目的みたい。蒼に会いに来たのも晶那の様子を見に来たような感じだし、翌朝松本に行ったって云う客も案外陶だったりして。
陶が深春に近付いて来たのは絶対偵察ですよね、お兄様の友達の。
あと夏那に過去の罪を暴いて見せて、しかも屋敷のパネルの仕掛けに気付いていながらそのままにしたところを見ると、京介今回は犯罪を防ぐ意思が全然ないように思えます。だから策士っぽいんですね。あくまで松浦を捕まえることが目的で、あとは蒼を含め邪魔されなかったら良いみたいな感じがしました。松浦の後ろにいた人物って京介の父親なんだろうか?
次は過去話で残すは最終巻だけみたいですが、ちゃんと終わるのかな? 大風呂敷広げすぎじゃないかとちょっと心配ですね(^_^;)。


次は建築探偵桜井京介館を行くを読みます。