新選組青春譜 勇と歳三と総司と

森満喜子。新人物往来社。
近藤さんが主役の話です。森さんは沖田の研究で有名な人ならしいんですが、この本の沖田の比重はそう重くないですね。でも近藤さんが主と云ってもあんまりいい印象じゃないんですが。御幸太夫を見受けしたら神秘的じゃなくなって普通の女になってしまったと幻滅したり、山南の追っ手に総司を差し向けたり、伊東の暗殺も企てて、とにかく主役だから何でも近藤さんがやったことにしたって感じがしないでもないんですが・・・。斬首の時に土方さんを全然思い出さないのもちょっと不満でしたね、一回も考えないかな、どうでしょう。反対に土方さんは山南さんの切腹の時「好いた女はいないのか」って明里を探させたりちょっといい人の印象でした。あと土方さん芹沢に「伝通院で見た時から好きだ」って云い寄られてましたが。このエピソードには吃驚でした・・・。短めの話なのでこの三人以外はあまり登場しません。
文章なんですが私は森さんの本はこれしか読んでいないので一概に云えないと思うんですけど、人称の統一がないのが気になります。同じページで「沖田は」「総司は」そういうのが凄くたくさんあるんですね。語り手の視点が変わっていたり、年代が違ったりすればそういう手法もあると思うんですがどうもそれもないので、他の本もそうでしょうか。