暗闇から 土方歳三異聞

北原亞以子。実業之日本社。
芹沢が粛清された時逃げた平間がその後江戸に戻った土方さんを執拗に付けねらう話です。昔大伝馬町の呉服屋に奉公していた時関係を持ったと云う女も同じように土方さんを付け回していて、この二人がいつの間にか一緒に旅するようになってしまうんですが、平間は芹沢を裏切らされた(暗殺の手引きをして金を持って逃げるように仕向けられた)恨みを晴らすために土方さんを殺すつもりなんだけど結局面と向うと魅入られたように固まってしまって何もできないんですよね。それを本人は初めから負けていると思っているんですが、「惚れてるんだよね?」と訊きたくなってしまいます(^^;)。付けて北関東から東北と追っかけていくうちに段々土方さんがこの二人の存在に慣れてくるのがおかしいです。勝と土方さんの関係の書き方(妖しいものじゃないですが)は他の本にはないもので興味深かったですね。結局は箱館まで来てしまうんですがラストはあっと驚く展開になってます。平間に安息が訪れて良かった。