新選組副長土方歳三

星亮一 編。教育書籍。
萩尾農さんの話が二本あります。「元治元年六月五日」は古高の拷問に土方さんが関わってません。しかも総司にも斎藤にも「土方さんにはあの凄惨な場を見せたくない」と思われてます。二人に大事にされてるのがわかりますね。「風走る」の方は流山での近藤との別れの場面なのですが、近藤に「新選組はもとから歳のものだった、お前は新選組と一緒に局長の近藤勇も作ったんだ」と云われて愕然とします。近藤は江戸に戻って妻子に会った頃から弱気になりつつあるんですが、本当なら思ってもこういうことは云って欲しくないかな・・・。回想で本庄宿の大焚き火が出てきますが、芹沢を微笑みの色仕掛け(ではないけど)で諌めてしまう土方さん。近藤の出番がありませんね。芹沢はその後水戸にいる時に惚れた女に土方さんが似ている、と云って土方さんを怒らせてました。
森悠萌「敗走 あるいは総司と歳三」は病床の総司の土方さんを思う気持ちがせつないです。土方さんの瞳の色でその感情を読んでしまうんですね。「また生まれるとしてもあなたに係わる人間でいたい」と云う云葉がとても好きでした。
星亮一「北の墓標」は江戸から箱館までの話です。星さんの文章はセンテンスが短すぎでちょっと読みにくいと私は思うんですが・・・。伊庭八郎が仙台で一緒の船に乗っていたのが謎でした。間違いですか? 島田が「土方牛若丸に対する島田弁慶のつもり」と思っているのがツボでした。