土屋隆夫推理小説集成1

天狗の面、天国は遠すぎる。
天狗の面は昭和33年に書かれたもので、他の作品とは違った文体と作風ですね。とある寒村で起った天狗講という新興宗教と3つの殺人事件、解決するのは白上矢太郎なる探偵役。全体的に横溝正史?と云った感じ。名張事件にヒントを得たような殺人が起きるけどどっちが先ですかね。

天国は遠すぎるは昭和35年に書かれた作品ですが、こっちは面白かった。天国は遠すぎるという曲のヒットで自殺者が何人か出ているという設定は、暗い日曜日事件を思い出させますね。それが長野県の官僚と政治家の汚職事件に繋がっていくのですが、現代でも事件自体は十分通用しそう。列車の二等車とか普通の映画館でストリップショーとかはないだろうけど。
二つの話とも犯人が自殺で(赤の組曲もだったな)その辺はあんまり好みじゃないです。捕まって終わるのが好き。
あと解説が長くてつまらなくていらん…。集成だからしょうがないか。土屋さん本人の随筆や江戸川乱歩の序文は面白いです。生きてる時代だったんだな〜。