アイアン・ハウス

アイアン・ハウス、ジョン・ハート
アイアンマウンテンにある元病院の孤児院で幼少期を過ごした兄弟の物語。兄は組織の殺し屋になり、弟は上院議員の養子で児童書作家になっている。兄マイケルがエレナと云う愛する女性との平凡な暮らしを望み、組織を抜けようとする。死の床にあるボスのオットー・ケイトリンはそれを許すが、組織のナンバー2のオットーの実の息子ステヴァンと殺し屋のジミーはそれを認めない。彼らはエレナと弟のジュリアンの命を狙う。マイケルは二人を守れるのか。

あらすじはこんな感じでしたが、いやとにかく面白かったです。アイアンハウスでの悲惨ないじめの経験から精神を病んでいるジュリアンの描写が怖いくらいです。原因はいじめだけど、症状を深刻にしているのは、ジュリアンが自分の罪をマイケルが被ったことについて負い目があるからのような気がする。自分の裕福な暮らしは本当はマイケルのものだったはず、と言う。でもそれは仕方ないな、マイケルも上院議員の息子だったとしても、殺す人数が少なかっただけだろうと思うシーンがあるし‥。統合失調症のことですが、マイケルは自分は違うって言っているけど、殺し屋としてのマイケルと普段のマイケルは違う人格のように思えなくもない。
マイケルはなんでもできてすごすぎる気もしなくもないけど、養母のアビゲイルが彼ら兄弟に尽くすわけや、隣人のゴートローを毛嫌いするわけ、後者はなんとなくですが納得できます。
エレナがマイケルの正体を知ってから彼の元を離れ、ジミーに捕まってしまうあたりは本当にハラハラしっぱなしでした。
ラストは全員幸せ・・・かな?
元鉱山の町スローターマウンテンは何かモデルがあるのでしょうか。日本だと電気もガスも水道もない大規模な町ってないよな。

面白かったので「川は静かに流れ」とか「ラスト・チャイルド」も読んでみたい。