土方歳三の鬼謀

柘植久慶。角川 ハルキ文庫 。

「もし土方さんが勝っていたら?」と云う話なのですが、1〜3巻まであって1巻が「鳥羽伏見」2巻が「会津」3巻が「箱館」です。でも読んでいてあれ? と思ったのですがそれぞれ繋がってません。独立した話なんですよね、最初それに気づかなくて2巻読み始めて「あれ??」となってました(^^;)。これ、土方さんファンには本当にたまらない爽快な話ですが(現実を思うとせつなくもあるけど)近藤さんファンの方にはお勧めできません・・・。2、3巻については大鳥さんと榎釜さんのファンの方にも。大鳥さんなんか「大鳥じゃなくて大鴨」とか云われちゃってます(^^;)。いや、現実も負け将軍だったのでそりゃそうなんですけど、書かれ方が可哀想なんですよね〜。榎釜さんも2巻は出て来ないんですが、3巻は先見の明のない頭の固い人みたいな書かれ方でちょっとなあ。土方さん以外の幕府方の閣僚はあんまりいいとこないんですよね。でも1巻と2巻は斎藤、原田、永倉の3人が土方さんにべったりくっついてて私にとっては夢のような話(笑)でした。2巻では近藤さんと袂を分った二人が土方さんと一緒に戦うために靖兵隊と彰義隊を引き連れて会津に来ちゃうんですよ〜。幸せだ・・・v 3巻では沖田のことを思い出す土方さん、一緒に原田のことも思い出してます。有り得なさそう(^^;)。 土方さんは実際自分が指揮を取れる立場にいたら勝ってたかなあと思わせてくれる小説でした。作者さんの経歴もちょっと驚きなのですが、結構趣味が合いそうですね、だって土方さん「眉目秀麗」「美しい笑顔の持ち主」くらいはいいとしてもプロイセンの武器商の兄弟に「ハンサムボーイ」とか云われてますし。そう云えば2、3巻はブリュネ×土方の方にもお勧めです(笑)。←いるんでしょうか・・・。3巻の伊庭さんと星さんは現実の人とあまり変わりがないように私には思えました。「土方さん命!」な感じで。特に甲鉄のアボルダージュの後血まみれの鬼のようになって船室から出てきた伊庭さん、土方さんを見て若者らしい微笑を浮かべるのよぅ(>_<)。いいなあ。でも近藤さんが刑死したことにあんまり興味のない土方さんはちょっとせつなかったです。1巻はあっと驚くお話なので面白いと思いますね、土方さんが長州の某大物に間違えられたりしているのも面白いです。2、3巻は現実は勝てる戦だったのに作戦のミスで負けた、と云う部分の訂正と云う感じになってます。一つだけ違和感があるのは土方さんが自分を「僕」と呼ぶんですね、云葉も乱暴ではなくて上品な感じの人でした。