テンペスト

池上永一。上下巻一気に読んでしまいました。目がシバシバします。青の調査ファイル途中だったんですが(^_^;)。


感想は超ネタバレです。凄く面白かったのでこれから読む人は見ないで下さい。トランスものではないけど、男と女の性が交錯する話が好きなので(恋愛じゃなくて)私は好き。

琉球王国末期の話です。なんとなくどこかで見たような(と云うか女子が科挙に似た官僚登用制度に合格して・・・と云うの、彩雲国物語もそうですよね。後先順番逆だけど側室にもなるし。でもテンペストの方が面白い)気がしますが。寧温は実在の人物じゃないでしょうが、実際こういう凄腕の官僚が居たと云う話は昔テレビで見たような・・・。記憶が定かじゃないですが。
最後真鶴は雅博と結ばれて良かったな〜でも40年前に官僚になったと云うことは真鶴は53歳!? まあいいか。


嗣勇が結構好きだったので最後は悲しかったけど、本人は満足した人生だったのかなあ。いずれにせよ琉球がなくなってしまったら踊奉行もなくなるでしょうしね。終わりと云えば真牛の最後も意外とあっさりしてたなと思うんですが、死後の世界でも聞得大君でいたかったわけだから、馬天ノロの勾玉を持って死ぬことは本懐を遂げたってことなんですかね。
彼女が最後に龍を開放したので今の沖縄にはもう龍がいないのかな〜。全編通して悲しいシーンはあるんだけど、本格的に泣いたのは津波古の最後だけでした。


寧温(と真鶴)のキャラはできすぎだと思うけど、まあ龍の子なので。でも寧温があれだけ頑張ってペリーを追い払ったのに、彼女がいなくなったらすぐ日本に事実上占領されてしまうとは。歴史的に考えると、清がなくなったことがとても大きかったんですよね。
江戸が260年もったのは鎖国していたからだと思うのですが、その間武器なしで存続していた琉球王国は凄いと思います。私は佐幕なので薩摩の味方じゃないですけど(^_^;)情報を持っていた彼らがぼんやりしている幕府に対してどんなに焦っていたかって云うのは理解できます。
でも日本はいつも対戦国がアメリカなのでそこが運のいいところだと思うんですよね。この時代英仏は清の解体にとらわれていて日本に来る余裕がなかったので、これは凄くラッキーなことだと思います。アメリカは元が植民地の国なので占領はしても植民地化には積極的じゃないですから。イギリスが開国を迫ってきてたら結構日本危なかったと思う・・・。だいたい今に至るまで口先三寸で世界の大国に君臨してきた(20世紀以降は違うけど)国に鎖国の日本が勝てると思えません。


感想じゃなくなってきた。シャングリラよりテンペストの方がアニメ化して欲しかったわ〜でも似てるから駄目かな? 
口絵も凄く綺麗なので絵で見てみたい。でも解説がなくて誰が誰やら想像するしかないんですが。


沖縄は今日本ですがこうやって見るとやっぱり外国なんですね。言葉が失われるのがもったいないと思うので、若い世代の人も頑張って使って欲しいです。方言も大好きなのです(琉球語は外国語ですが)。
いずれ滅びる運命ならどの国に吸収されるのがいいかなと考えたんですが、今現在で考えたら中国、日本、アメリカ、あとイギリス? 結果的に日本で良かったんじゃないかなーと私は思いますがどうでしょう。アメリカだったとしたら太平洋戦争の地上戦はなかっただろうけど、今は全土基地状態になってしまいますよね。

真美那も好きでした。彼女は結構幸せそう(^_^;)。