歳三の写真

草森紳一著。表題の歳三の写真が中編、高台寺残党考察が中編、その他短編考察が伊庭八郎の征西日記について、新選組の羽織について、土方さんの書体についての3本入ってます。
表紙はミュシャ風と云うか天野風と云うか素敵な洋装の土方さんの絵で、表題も歳三の写真なんですけど…ちょっと看板に偽りありだと思います(^_^;)。
他は全て考察で表題だけ小説なので、本として変わってますよね。むしろ高台寺残党の方が長いし詳しいんだけど。まあ手に取られ易い方を選んだんだろうなと云う感じ。私みたいなヤツを対象に(苦笑)。

歳三の写真。函館の写真館の田本研三と土方さんの話。土方さんは写真を撮ることにこんなに拘わっていなかったような気がしますけど…。さっさと洋装断髪するような人だし。

伊庭八郎の征西日記の考察。征西日記は食べ物とお風呂の話ばかりですよね(^_^;)。伊庭さんは鰻が好きなんだな〜と思います。

新選組の羽織についての考察。誠とは何かですが、ユニフォームは大切だと云うことですか。

高台寺残党。伊東甲子太郎の遺体を壬生寺から泉湧寺に改葬したときの供卒二百人とは何者か、の考察です。篠原泰之進(秦林親)と阿部十郎(隆明)の明治になってからの座談会や息子の聞き書きや、本人の回想録を多数引用していてとても読みにくいです(^_^;)。
内容は偽官軍事件や赤報隊についてなど詳しいんですが、私があまり興味がないのがいけないんだろう…多分。
結局供卒二百人は当時官軍の名に惹かれて薩摩藩邸に集まって来ていた浪士ではないかとのこと。
考えたら時期的に新選組はもう京都にいないし(彼等に対するデモンストレーションにしたら意味がない)、高台寺党もそんなに人数いないし変だな? と思うところですね。

篠原と阿部を比べると篠原の話はだいたいにおいて話が大きくなってます。阿部の方が冷静みたい。永倉と島田魁の日記の違いみたいです。性格が出ているのでしょう。墨染で近藤さんを狙撃したのは二人とも自分て言っているんですが(苦笑)。
この際間をとって富山弥兵衛ということでいいんじゃないですか〜。←冗談です。

土方歳三の書体について。よく女手みたいと言われる土方さんの字ですが、草森さんは斜に構えたダンディズムを感じるらしいです。書体だけじゃなくて発句や鉢金の文字についても考察がありました。
要するに土方さんは格好いいと。要約しすぎだけど(^_^;)。

高台寺残党に興味がなかったらお勧めじゃないです。